2002年吾嬬旅行会(特産品)


山形といえば思い起こすもの

■いも煮会

 旧10月1日の刈上げの行事で、収穫に感謝し、隣近所の結束を固めたのがはじまりとされる山形のいも煮会。
発祥の地とされる馬見ヶ崎河畔は、いも煮の鍋を囲む人で大賑わい。まさに秋の風物詩となる。
 中味は、里イモ、牛肉、コンニャク、長ネギを加え、酒と醤油で味付けをする素朴なもの。
毎年シーズン始めには、直径6メートルもの大鍋が登場。野趣豊かな響宴が、青空のもとにはじまる。

■準備
 里いもは皮をむいておく。
こんにゃくは包丁を使わずに手で一口大にちぎる。
しめじは下の部分をそぎ、二房ぐらいにわけておく。
ねぎはななめに切る。
 (注)こんにゃくをなぜ手でちぎるかというと、よりよく味をしみこませるためです。包丁で切るより味がしみて美味しくできます。
■作り方
 里いもとこんにゃくを鍋に入れ水、しょうゆ、酒を芋がひたひたに隠れるより少し多めになるように入れ、砂糖を加える。最後に味見して調節出来るので、ここで味を整えなくても大丈夫。
注)醤油を先に入れるのは、吹きこぼれを防ぐためと、芋に味をつけるため。強火で里いもがやわらかくなるまでしばらく煮る。里いもがやわらかくなったら、牛肉を入れ、しめじも一緒にいれる。牛肉に火が通ったらネギを加え、ひと煮立ちしたら火からおろして出来上がり。


■山形牛

 和牛飼育に最適な気候、土壌、そして水。さらに、毎日ビールを飲ませてブラシをかける愛情が育んだ山形牛は、松坂・神戸牛にも匹敵するといわれる。グルメ垂涎の的である。
■玉こんにゃく
 「これぞ、山形名物」といえるのが、玉こんにゃくだ。蔵王・山寺の行楽地、縁日などでは、大きな鍋の中で、ぐつぐつ煮えたアメ色の玉こんにゃくを必ずみかける。しょうゆ味がたっぷりしみこんだふるさと山形の味をよろしく。
■さくらんぼ
 初夏の味覚として知られるさくらんぼは、西アジアが原産。現在、山形県は全国生産の約76%を占めるというさくらんぼの里である。6月上旬から7月上旬にかけて、真っ赤なルビー色の実をつける。もちろん、自分の手でもぎとれる観光さくらんぼ園もぜひ体験したい。 

月山筍   (山形県西川町)
 東北の各地には今も、代々伝えられる料理や懐かしい味が受け継がれている。先人の教えを忠実に守ったり、新しいアイデアを加味したり。それぞれに、守り手の熱い思いが込められている。ふるさとを訪ね、その地に根付く「食」を探る。
 出羽三山の一つで、山形県中央部に位置する月山(1984メートル)は、山菜の宝庫として知られる。とりわけおいしいと言われているのが、タケノコ。山中には、積雪の重みで根元の部分が曲がってから立ち上がる「根曲がり竹」が群生しており、そのタケノコは地元で「月山筍(だけ)」と呼ばれている

コイの甘煮   (山形県米沢市)
 
煮炊き場に充満する砂糖としょうゆの甘じょっぱい香り。グツグツ煮えている鍋の中では、厚さ3センチ、長径15センチほどの楕円(だえん)形をしたコイの切り身が、いくつも顔をのぞかせている。
 「うちでは、強火で一気に炊き上げます。そうすれば、コイの泥臭さは消えて残りません」

山形県米沢市の「宮坂鯉(こい)店」社長、宮坂宏さん(43)は、「コイの甘煮」を調理するコツを、こう説明する。
 輪切りにしたコイを、砂糖としょうゆ、酒、水で煮る「甘煮」は、コイ料理の代表格。米沢を中心とする山形県南部の置賜(おきたま)地方では、郷土の味として受け継がれてきた。
 出来上がった甘煮は、表面にトロリとしたあめ色の照りが出て、食欲をそそる。腹には脂が乗って、はしを付けると染み出す。皮やうろこにも、独特の歯応えがある。
 置賜地方とコイとのかかわりは、1802年、米沢藩主・上杉鷹山が、内陸部では不足しがちなたんぱく質を補おうと、福島県相馬から稚魚を取り寄せ、住民に養殖を奨励したのが始まりという。
 以来、どこの家でも、台所の排水口近くに池を掘ってコイを飼い、残飯などをえさにして育てた。コイは、たんぱく質だけでなく、カルシウムや鉄分、ビタミンなども豊富だ。栄養の補給源として、様々な方法で調理されて食膳(しょくぜん)をにぎわしてきた。
 中でも甘煮は、かつて砂糖が貴重品だったこともあり、格別なごちそうとして、冠婚葬祭や節句の折などに振る舞われた。
 「この地方では、『お年取り』と言って、大みそかに1番のごちそうを食べる風習があります。『良い年よ、来い』という意味も込めて、コイの甘煮は欠かせません」と宮坂さん。
長井市の四釜澄子さん(78)も「私の誕生日には、母がいつも甘煮をつくってくれました。嫁いでからは、しゅうとめにこの家の味を教わって、よくつくりましたよ」と話す。実家でも嫁ぎ先でも、池でコイを飼っていたという。
 しかし、時代とともに、家庭でコイを料理する機会そのものが、めっきり減ってきた。
 コイの専門業者が活魚を売るようになり、徐々に家々の池からコイの姿が消えた。今は、「甘煮」を含め、調理された品物が手軽に買えるから、つくる必要も無い。「女の人も働く時代だから、仕方ないですねえ」と、四釜さんは寂しそうだ。
 それでも、コイの甘煮を「好物」と言う人は、依然として多い。その1人、米沢市の住職今成良全さん(78)には、甘煮にまつわる“逸話”がある。
 7歳の時、今成さんは、医者も手の施しようがない、重い腎臓病になった。最後の望みをかなえてやろうと両親が「食べたいものはないか?」と尋ねると、今成さんは「コイの甘煮」と答えた。そして、甘煮を食べたところ、それがきっかけとなって病気が治り、元気を取り戻したという。
 「コイのおかげで一命を取り留めたんだと思います」――。そんな今成さんの言葉を少々大げさだと思う人もいるかもしれない。しかし、置賜地方では、こんな話が語られるほど、コイの甘煮への思い入れがある。
 私より高齢の世代にとって甘煮は、尊ぶようなごちそうでしたから」と、郷土料理に詳しい山形県立米沢女子短大名誉教授(調理学)の高垣順子さん(71)(米沢市)。
やはり、甘煮が好きだという高垣さんは言う。「郷土の人々が好む伝統の味が、いつまでも続いてほしいですね」と。

焼き麩   (山形県東根市)
 焼製麩
(せいふ)工場には、パンを焼くのに似た香りが漂う。焼き麩のもとは、白くて軟らかい粘土のようだ。これを細長い2メートルほどの鉄の棒に巻き付け、機械に入れて20分。ふっくらと焼き上がり、フランスパンみたいな形になる。天井につるして乾燥させ、輪切りにして出来上がる。
 試食用の焼き麩の煮物を食べた。厚みがあって煮崩れしていない。粘りがあるし、歯応えもある。麩には、みそ汁に入れてかき混ぜたら、形が崩れてしまうものもある。しかし、ここの麩は全く違う。
小麦とグルテン
 奥羽山脈のふもと、さくらんぼの産地として知られる山形県東根市は、麩づくりも盛んだ。同市六田地区には、製麩業者が8軒集まっている。
 「ボリュームがあってしっかりした麩が、六田の自慢です」と、製麩業者の1人、大山峰昭さん(58)は誇らし気だ。
 麩の原料となる小麦には、植物性たんぱく質「グルテン」とでんぷんが含まれている。
 麩づくりは、まず、小麦を練りながらでんぷんを水で洗い流すと、グルテンが残る。グルテンは粘着力が強いので、改めて小麦粉を混ぜて軟らかくしたうえで焼く。
 混ぜる量は焼き麩の産地によってまちまち。多いほど軟らかくなり、グルテンの倍以上混ぜる所もある。しかし、六田地区は、グルテンの半分程度しか混ぜないので、麩がしっかりし、食べ応えがあるという。
 もっとも、混ぜる小麦粉が少ないのは、「かつてこの地域が貧しく、倹約したからと思われます。貧しさゆえ、しっかりした焼き麩ができたのでは」と、六田の歴史に詳しい工藤雪雄さん(72)(東根市)は言う。
 六田地区で製麩業が始まったのは、宿場町として栄えた江戸時代後期。六田は、小麦の産地できれいなわき水がわき、麩づくりの条件に適していた。
 明治時代以降、焼き麩を売り歩く「麩売り」が100人以上も現れ、東根市と周辺地域の「郷土の味」として定着。主に煮物やみそ汁の具にされたという。
 「焼き麩は、保存がきき、急な来客の時も調理が簡単。コレステロールの少ないたんぱく源で、健康にも良い。大変重宝です」と工藤さん。
 ただ、地味な食材だから、食生活が豊かになる中、目立たなくなりがち。「麩をつくって売るだけでなく、多くの人に、麩の食べ方を知ってもらう努力が大切」と、製麩業者の1人で、東根焼麩組合長の斎藤文四郎さん(56)は話す。 斎藤さんは、20年以上前から、主婦らを対象に、麩の料理の講習会を無料で県内各地で開いている。焼き麩を材料にした「唐揚げ」「ハンバーグ」のほか、グルテンにもち米を混ぜて蒸した「生麩」を使った「まんじゅう」など、自ら発案した様々な料理を教えたという。
調理法も様々に
 「麩って、こんな風にいろいろと調理できるんだ、と感心しました」と言うのは、東根市の隣、村山市の主婦松岡由美子さん(55)だ。
松岡さんは、自分が役員をしている婦人会で、斎藤さんを招き、3回ほど麩料理のつくり方を教わった。印象に残ったのは、焼き麩の「かば焼き」。鶏肉に近い食感が心地良く、家族にも好まれ、よくつくるという。
 「焼き麩は材料費が安く、おいしくて家族に喜ばれます。主婦にとって、頼りになる『郷土の味』です」と松岡さん。 そして、「この味を、ぜひ、子や孫にも伝えていきたいですね」とも語っている。

ユニーク料理から懐石まで 
 東根市六田地区では、「焼き麩」や「生麩」をはじめ、多数の麩料理が販売され、一部の商品は、地方への発送も受け付けている。よく売れて主婦が料理に使うことが多いのが、棒状の焼き麩を7、8センチ程度に輪切りにして袋詰めにした、お徳用の「やき麩」(500円前後)。
 ユニークな麩料理としては、グルテンとそば粉で作った「ふそば」、焼き麩に黒糖をからめた「ふかりんとう」、焼き麩やホタテなどが入ったシューマイ「ふーまい」などがある。

どんがら汁   (山形県酒田市)
 
湯気が立ち上るアツアツの汁をごくりと飲む。口の中いっぱいに、こくのあるタラのアブラワタ(肝臓)とみその味わいが広がる。食べ終わるころには額に汗がにじみ、腹の底から温まった。 「雪は上からでなく、横から降る」と表現されるほど、激しい地吹雪で知られる庄内地方の冬。そんな地元で、凍える身体を芯(しん)から温めてくれる料理が愛されるようになったのは、ごく自然のことだった。
寒さいやす 冬の港町の味
 「元々は、地元の漁師さんたちが漁で冷えた体を温めようと、捕ったばかりのタラで作ったのが広まったと聞いています。飾らない港町の味なんですよ」。こう話すのは、酒田市日吉町の料亭「治郎兵衛」の4代目主人、渡部俊夫さん(53)。

 
愛きょうのある名前は、材料として使う頭や中骨などの「あら」を意味する「胴殻」に由来するという。別の魚で作ることもあるが、今の時期は間違いなく、旬の短いマダラを使った「寒鱈(かんだら)汁」のことを指す。飲食店のメニューに並ぶほか、スーパーなどで切り身や白子のセットが出回っており、家庭の食卓を飾ることも多い。
 基本は、みそ仕立てで、ぶつ切りの身のほか、ダダミ(白子)とアブラワタを欠かさないこと。治郎兵衛では、ほかに豆腐とネギ、岩ノリが加わるが、その代わりにダイコンを入れるなど家庭ごとに味のバリエーションはさまざまだ。
 「やっぱりアブラワタが味の決め手。だから鮮度は重要です。型も大きい方がおいしい」と渡部さん。ちなみに重さ7―8キロのタラ1匹で、およそ30人分のどんがら汁が作れるという。近年、この“地域の味”を全国区にしようという取り組みも進んでいる。
 今年で3回目となる「しぼりたての新酒と寒鱈セット」は、治郎兵衛など市内6軒の料亭が、どんがら汁と地元の蔵元4社の純米酒、小鉢などが付いたランチセットを提供するもの。すでに関東方面などからの予約を含め、利用者は昨年の2倍以上となる2500人近くに上る盛況ぶりだ。
企画を担当した酒田観光協会の荒生満次長(45)は「予想以上の反響ですが、それだけの味だと胸を張れます。この庄内の寒さを薬味にして、ぜひ旬の味を楽しんでほしいですね」と話している。
天候次第の漁
 「この時期は、みんなテレビにくぎ付けですよ。明日は漁に出られるのかってね」。山形県漁協酒田総括支所(酒田市船場町)の事務所で、本間勉次長(53)はテレビの天気予報に見入る。
 庄内沖では今月下旬から来月上旬にかけてが、“寒鱈”こと、最も脂がのって味が詰まったマダラ漁の最盛期。タラは通常、水深300メートル前後の深海にすんでいるが、この時期になると産卵の準備もあって通称「タラ場」と呼ばれる大陸棚の斜面にまで移動してくる。寒鱈漁はそれを底引き網で狙うものだ。1回の漁で200匹近く水揚げされる。
 県水産試験場(鶴岡市)の予測では、今期(昨年12月から3月まで)のマダラの漁獲量は前期並み(約156トン)と見られている。
 しかし、漁は天候次第。この時期の日本海は冬型の気圧配置の影響でしける日が多く、月初めからしけが続いた今月も、出漁できたのは5日に1度ほど。それ以外の日には、他県で捕れたタラが市場に並ぶ。
 「自然が相手だから、仕方ないんだ」と、さばさばした表情で話す本間さん。「地場産で作ったどんがら汁は、やっぱり違うよ。それにうまい酒があれば、もう何もいらんのだけどね」と笑って見せた。


ワインの分類

 赤ワインは、黒い色をしたブドウを、果皮を付けたまま発酵して造られます。皮の色素が果汁に溶け出すことで「ワインレッド」になるのですが、この色素中に、心臓病予防に役立つという、例のポリフェノールが入っているわけです。
 ただし「赤」といえども色は様々。熟成度合いによって、色は変化します。ボージョレ・ヌーヴォーに代表されるような、とても若いワインは「紫」がかっています。そして「ルビー」やいわゆる「ワインレッド」となり、次第に「褐色」へと向かいます。
 その変化も、元の色の濃さによって異なります。始めから「明るいルビー色」のものは退色が早く、比較的涼しい産地のものは「明るい色」、暑い産地のものは「濃い色」と言えます。また、品種によっても違い、フランスのブルゴーニュに代表されるピノ・ノワールは明るめの赤で、ボルドーに代表されるカベルネ・ソーヴィニヨンなどは黒味がかった濃い色合いをしています。

 白ワインは、果皮を取り除いてから発酵します。ですから、黒いブドウからも白いブドウからも白ワインが造れるのです。「白」も、水のように無色透明ではなく、極めて若い段階では「緑」がかった黄色をしています。ミュスカデなどをよく見ると、緑っぽい淡い黄色をしています。そして、熟成とともに赤と同様に「褐色」へと向かいます。こちらは、見た目には色が濃くなります。
 産地による違いは赤と同様、涼しい地方では比較的「明るい色」、暑い産地からは「濃い色」のワインができます。品種では、ヴィオニエ、セミヨン、ゲヴュルツトラミネールなどのワインは基本的に濃い色となります。また、樽熟成を施されたワインは、色が濃くなります。
 色の変化で特に面白いのは、フランスのソーテルヌで造られる極甘口のワインです。光沢のある黄金色から、長い年月を経て熟成すると共に、カラメルを数滴垂らしたようにブラウンがかってきます。
 

 
ロゼは、EC圏内ではフランスのシャンパーニュ以外、赤ワインと白ワインを混ぜて造る方法が禁止されています。この場合は、黒いブドウを使って、破砕した後何日かそのまま置き、流れ出る淡い色の果汁だけを発酵させるのが一般的です。ロゼに、少し赤ワインのような香りがしたり、少し渋みを感じたりするのは、果皮の影響です。
 人はなぜか泡に惹かれる…。でも、グラスに注いでからじ〜っと見ていると、その泡の出方は様々です。

 スパークリングワインは、シャンパーニュに代表される、伝統的な方法と呼ばれる「瓶内二次発酵」は、瓶にワインを酵母と酵母の栄養分となる糖分を一緒に詰めて、もう一度発酵させます。この時に出てくる泡(二酸化炭素)を瓶内に封じ込める、という方法です。そしてそのまま出荷まで熟成させるのですが、熟成期間が長いほど、細やかで継続性のある泡が楽しめるワインとなります。
 グラスに注いでから、シュワシュワッと大きな泡が立ち、すぐに消えてしまう場合は、熟成期間が短いか、密閉タンク内で二次発酵させる、などの方法によるものです。